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2005年10月 9日

メジャーの意味。

その人がメジャーデビューするきっかけとなった、とあるコンテスト。私はその場にたまたま居合わせた。

圧倒的な”歌唱力”、”集中力”、”楽曲の素晴らしさ”、彼女の優勝は、誰もが異存のないものだったと思う。案の定、そのコンテストがきっかけとなって、彼女は事務所にスカウトされ、あっという間にメジャーデビューを果たした。

たちまち、音楽雑誌、ラジオ出演、テレビ出演、ライブツアーと活動の場をどんどんと広げて行った彼女だが、それでも、コンテストの日に見た、ちょっと頑なイメージは、その後も少しも変わることはなかった。

彼女にとって、このデビューは決して”棚ぼた”ではない。それまでも、地元でのライブ活動を8年、さらには音楽仲間とライブハウスを立ち上げて、自らの手で運営するなど、地道な努力をずっと続けていた。そんな中、デビューの話は過去にも何度かあったようだが、彼女自身、メジャーへの興味はなかったらしい。

それでも、デビューを決めたのは、その事務所の誠実な対応に心を動かされたからだと言う。

あれから、2年。彼女は事務所との契約を終えて、メジャー活動をやめるという。

あぁ、やっぱりな、と思う。

やめる理由を彼女は記す。

『自分ひとりでできること、それは、歌を書いて、歌うこと。ただそれだけ。自分以外の誰かと何かをしようとすると、その人の期待に答えようと懸命になる自分がいて、それがうまくいかなかったとき、自分以外の誰かのせいにしたくなってしまう。』

なるほどな、と思う。

今の時代、歌で世に出たいと考える人は、星の数ほどいる。そして、実際出来る人はほんの一握り。その、一握りの人の何人が、本当に納得して歌っているのだろう。

歌うことって、どんなに格好つけても、言い訳しても、結局は自分のため。自分が楽しいから、自分を魅せたいから歌うのだもの。

”メジャー=プロ” として歌うことには、もちろん大きな魅力があるのだろう。でも、それが自分のやりたいことと違うなら、歌うことはもうつまらない。

きっとこの2年、メジャーという世界を通して、彼女はそのことを確認したのだと思う。おそらく、その事務所は彼女の希望を叶えようと、誠実に対応してくれたのだろうけれど、距離は縮まることがなかったんだね。

これからは、また地元で、自分達のライブハウスで、思い切り歌っていくんだろうな。私もいつか聴きに行けたらいいな。ジュンちゃん、あのコンテストで見たジュンちゃんは本当に輝いていました。本当にすごいと思いました。これからもずっと応援しています!

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