Close Your Eyes
『男たちの大和』、を観ました。
戦争映画は好きじゃないので、ちょっとどうかな~・・・とも思ったのですが、これはいわゆる”戦争の不毛さ”とか”残酷さ”などの側面に焦点を当てた映画ではなく、”生きることの意味”、”死ぬことの意味”というものを描き出した映画だったように思います。
終戦間際、沖縄に向けて出撃した世界最大と謳われた戦艦大和の乗組員と、その家族の生き様を通じて、そうしたことをテーマとしているのですが、中でも特に印象的だった場面があります。
一機の飛行機の援護もない中での特攻を迎えた日。それは、乗組員にとって、すなわち”死にゆく日”でもあります。そんな極限状態の中、乗組員の心には『国を守るために死んでいく、自分たちひとりひとりの命の意味はどこにあるのだ』という、抗い難き疑念が突き上げます。
そして、この問いに、長島一茂演じる臼淵大尉が答えます。
『進歩のない者は敗れる。だが、”敗れて目覚める”。それ以外に日本が救われる道はあるのか。日本が生まれ変わるためにさきがけて散る。本望じゃないか・・・』と。
この場面だけは、ぐっと、胸が詰まりました。3000人余の命とともに、一時間足らずで最期をとげた戦艦大和。そんな思い一つ一つとともに沈んでいった大和は、今日のような日本を、果たして予測していたのだろうか・・・。
もちろん、戦争を肯定するほどバカなことはありませんが、かといって先の戦争を全て否定することは、そうした尊い思いをも否定することにもなってしまうのだ、という、やり場のない気持ちにもなりました。
そして何より、この史実が、たった60年前の出来事、という事実に驚きを禁じ得ません。
一方で、鑑賞後直ちに、家人とともに、とんこつラーメンをすすって、ハナミズをたらし、餃子をもつまんで喜んでいる私は、幸福以外の何物でもないのだ、と改めて感じる一日でもありました。
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