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2007年7月 3日

当たり前とは。

数あるカメラ量販店の中、私がもっとも頻繁に利用しているのはビッ○カメラであります。

特に理由はありませんが、なんとなく相性が良いのと、近隣の駅前にあるため。

当然のことながら、ポイントカードも、長きに渡り使用しており、最近ではスイカと一緒になったカードまで作ってしまったくらいです。

がしかし、このポイント、実際には、ほとんど溜まったためしがありません。

まずは何より、そんなに高額なものは買わないし、加えて、毎回、必ず使ってしまうからなのです。

これはひとえに、せっかちな性格ゆえと、”あるなら使おう”、という単純な発想に尽きるわけで、そういう意味では、ポイントカードとしての醍醐味をあまり経験しないまま、現在に至っているとも言えます。

でも、ある日を境に、私は、そうした自分の行動に、ある種、確信に似た感情を持つようになりました。

2年前の7月5日。

それまで密かに応援していた、若いシンガーソングライターが、闘病の末、急性骨髄性白血病でこの世を去りました。

私は、その人のライブを2度見ただけで、後は、メールのやりとりと、その人のブログを、こちらが一方的に読んでいる、という間柄。

だけど、その死は、私にとっては、思いがけず衝撃が大きく、しばらくは、悲しい気持ちから抜け出せない時間が続きました。

その、シンガーソングライターが、闘病中に綴っていた日記の中で、ある日、興味深いことを書いていました。

それは多分、外出を許可された日の事に触れたものだったと思いますが、久しぶりに街に出たついでに、新宿のカメラ量販店に足を運び、何か購入したのだと思います。

その時レジで、件のポイントカードについて、溜まったポイントはどうするか聞かれ、その人は、迷うことなく ”使います” と答えたそうです。

そして、そう答えたとき、ポイントが使えるって、なんてすごいことなんだろう!と心から思ったのだそうです。

多分、それまでは”何の気なしに取っていた当たり前の行動が”、そして、”使うか使わないか選択できるという自由が”、病気になったことで、きっと”生きていることを実感する”大きなきっかけの一つになって、その人の心に映ったのだと思います。

その日記を読んだとき、私は、ふと自分のことを考えました。

無論、私自身、いつも、なんの考えも無しに ”使います” と答えていたつもりだったけれど、実は、無意識の意識、心のずっと奥のほうに、”次回があるかどうかはわからない” ”だから今のうちに使っておこう”、そういう気持ちも隠れているのかもしれないと、そのとき初めて感じました。

日常の暮らしは、当たり前の連続と、当たり前の積み重ね。

普段はそれを意識することはありません。

でも、当たり前であると思うのは、それが、明日も明後日も、同じように続くと信じているから。

明日には、無くなるのだとわかった瞬間、それは、当たり前から、特別に変わって行く、そういうものだと思います。

毎日の暮らしの中で、時間が有限であることを意識して生きていくことは、とても難しいけれど、また、それでいいのだとも思うけれど、何かの折に、その有難さに目を向けることは、無駄ではないと思うのです。

そのシンガーソングライターは、決してイケてはいなかったけれど(笑)、そして歌も決して上手ではなかったけれど、優しくて、切なくて、なぜだかまた聴きたくなる、なんだか放っておけない気持ちになる、とても不思議な歌を唄う人でした。

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