雪やこんこん。
東京では、そろそろ雪の心配もなくなりつつありますが、まだまだ朝晩、寒さは厳しいですね。
雪やこんこ(ん)
霰やこんこ(ん)
降っては降っては
ずんずん積もる
子供時分に、きっと皆、一度は歌ったことがあるだろうわらべ歌。
この”こんこん”の意味、知っていますか?
私は、今まで、改めて考えたことなどありませんでしたが、とあるコラムを読んで、なるほどなあと、今更ながら感心してしまいました。
”コンコン”と言えば、【昏々と眠る】、【滾々と水が湧く】、【コンコンと咳をする】・・・など、擬態語として用いられる例はいくつもありますが、実際雪に関しては、”コンコンと降る”・・・とは、言わないですよね。
雪の降る様を表現するのは、やはり”しんしん”とか”さんさん(これは川端康成が使ったとか)”とか。
では、雪やこんこん・・とは、一体どういう意味なのか。
町田嘉章の『わらべうた』によると
秋田では ”霰やコンコン 豆コンコン”
宮城では ”雪コンコン 雨コンコン”
福島では ”雨コンコン 雪コンコン”
と歌ったという記述があり、これからみると”コンコン”とは、単なる擬態語ではないのだろうという推測が成り立ちます。
”雪やこんこん”
この歌自体、実はかなり古いわらべうたに始まっているようで、寛文九年刊『一休はなし』という笑話集や、井原西鶴の書物にも、”雪やこんこ、霰やこんこ”のという描写が出てくるのだそうです。
そして、
「わらはべにて侍りしおり、親たちのせいしたまふも聞き入れずして、雪こうこうと庭に出でつつそぼれあそべりしに」(慶安三年 安原貞室 『かたこと』より)
実は、雪に遊ぶ、この”子供心”にこそ、その意味の起源を見て取れるのだそうです。
つまり、”こんこん”とは、”雪の降る様を表す擬態語”ではなく、『来う、来う』(降って来い、降って来い)という、雪に向って叫ぶ、「囃しことば」だった、ということらしいのです。
なるほど~!!
さらに、この”こんこん”には、もっと深い意味があって、かつての稲作農民たちにとって、”冬に雪が降ることは、来るべき秋に豊かな稲が実ることの予兆”であり、”雪は山野に豊潤な地下水をもたらし、枯れ木に花をさえ咲かせる”
”こんこん”とは、もともと、私たちの祖先が、豊穣への”祈りや美学”を込め、その暮らしの中で用いてきた、大切な言葉だったと見ることができるのです。
そうであるならば ”雨コンコン”、”豆コンコン”も、また然り。
なるほど~!!
古くから歌われ続け、慣れ親しんできたこのわらべ歌には、こんな素晴らしい背景があったのですね。
うーん、納得です。
ところで。
件のコラムによると、”雪やこんこん”のうたは、今も小学校の教科書に出ているとのこと。
それを知って、ほっとしました。
時代を超え、ずっと愛され続けてきたこのわらべうた。
これからも末永く、たくさんの子供たちに、歌われるといいなと思います。
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