体得。
バレエダンサーの熊川哲也さんが、『舞台に上がるとき、音楽を聴いて踊っているようじゃ、とても人様に見せられるものにはならない・・・』というようなことを言っていました。
すなわち、頭で考えているようじゃ、お客さまの前で踊る意味がない。
自分を引き合いに出すのは、あまりにも僭越ですが、しかしながらこの感覚。
私なりに、私なりの経験の中で、理解できるところがあります。
弾き語りをするときも同じ。
自分のピアノや、その他の楽器を、耳で、頭で聴いていると、歌は全くおろそかになってゆき、普段できていることが、たちまちできなくなってしまいます。
初めてギターと音あわせをするとき。
歌いながら、ギターとアンサンブルを作って行くとき。
当然と言えば当然なのですが、”頭で考えながら歌う”、ということは、やってみるととても難しい。
では、”考えないで歌う”というのはどういうことか。
おそらく、それが”体得・・”ということになるのでしょうが、この答え。
本当は、もっとずっと難しくて、奥深くて、はっきりとは見つからないもののような気がします。
使わない・・・と言っても、実際には使っているのだろう頭。
聴いていない・・と言っても、実際には、聴いているだろう耳。
使っていながら、使っていることを意識せず、聴いていながら、聴いていることを意識しない頭と耳。
それは一体どういう状態か。
わからないから、知りたい。
知りたいから、惹かれていく。
そうした謎が、全てわかってしまったら、【ライブ(音楽に限らず)】という【生身を晒しての表現そのもの】が、演じる側にとっても、観る側にとっても、あるいはつまらないものになってしまうのかもしれませんね。
昨日の音あわせで、たまたま ”音を聴いてしまっている自分”というものを、強く意識したばかりだったので、ちょっと書いてみたくなりました。
いずれにしても、熊川さん・・・カッコイイな~(^-^*)
| 固定リンク