イヌイットの版画。
先週の金曜日、思い立って、赤坂のカナダ大使館まで出かけて来ました。
・・その目的は・・・?
一念発起の語学留学 ?
・・ではなく、大使館内にある高円宮記念ギャラリーで開催中の「旅する版画:イヌイットの版画のはじまりと日本」を見るためです。
そして素晴らしかった!
入場無料で、あれだけ見せてもらえれば、大満足です。
カナダ北極のケープドーセット(イヌイットの集落)では、”収入を得るための手段の一つとして、今から50年ほど前、当時政府の職員だったジェームズ・ヒューストンが、この地に版画制作の方法を紹介した”のだそうですが、その版画技術の発展に、日本の版画が大きな影響を及ぼしていたのですね。
1958年、ジェームス・ヒューストン自ら、日本に赴き、名匠平塚運一のもとで3ヶ月間学び、自国に戻って、その技術を伝え、普及したのだそうです。
今回の展示では、ケープドーセットの工房初期の作品(日本版画の影響を受ける前)に始まって、日本の技術がどんな風に影響を与えたかと、いうことを、元になった”日本版画作品(平塚運一・棟方志功)”と、きちんと比較する形で展示してあったので、とても具体的で、そして分かりやすかったです。
ともかくも、イヌイットの版画は、色使いも、モチーフも、構図も、全てがあたたかく、そしてやさしい。
手法においては、日本の技術が確かに受け継がれているけれど、”描き出される世界は、イヌイット独自のもの”
とりわけ、自然や動物を愛する気持ちが、イヌイットならではの民族性として、全ての作品を通じて流れていることを、強く感じました。
ケープドーセットでは、現在も、”自分たちの歴史と文化を記録するための手段として版画制作を続けており”その印刷には、50年前と変わらず、”日本の和紙”を使っているのだそうです。
日本国内での需要が激減する中、イヌイットが和紙文化の一端を支えている・・という事実は、少々寂しい話でもあり、嬉しい話でもあり。
※会場内では、日本の和紙職人が、ケープドーセットの工房を訪れるドキュメンタリーを上映していましたが、こちらもとても面白かったです。
※補足ですが、イヌイットの版画は、日本のような木版ではなく石版です。イヌイットでは木はとても貴重なものとされていたため使えなかったそうです。
平日の昼間ということもあって、人もそれほど多くなく、非常に充実した時間を過ごしてまいりましたが、一つだけ残念だったこと!
それは、毎度お楽しみの絵葉書や図録が買えなかったこと。
大使館のため、一般の美術館のような、ミュージアムショップはありませんでした。
(図録の見本はありましたが、入手希望の場合は、直接”カナダ文明博物館”まで問い合わせとのこと。しかも中身、全部英語だし・・・(;^-^A)。)
・・・ということで、今見てきたものを記憶に焼付け、宣伝用に配布されていた絵葉書を一枚、しかと頂戴して、帰ってきました。
久しぶりの都会めぐりは、ちこっと疲れたけれど、とても楽しかったです。
さてさて。
この週末から、花粉がいよいよすごいことになっていますね~!
私の瞼はすでに赤くはれ、クシャミも連発です。
あれやこれは、できる限りの工夫をこらしつつ、なんとか無事に乗り切りましょう~!!
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